2021/04/04
毛管運動は狭心症の特効薬である、これは本当であると思います。さらに毛管運動と併用することで治療を大幅に加速させ、グローミューを鍛える効果があるものがあります。温冷浴です。私自身の心臓が弱っていた間、もっとも呼吸が楽になったのを実感したのは温冷浴においてでした。
西式のコンセプトは大ざっぱに、酸アルカリ、縦横、右左、上下など、二元性を揺さぶり、そして黄金のド真ん中を掴むことにあります。これを風呂をつかって温度差で刺激し、肌および皮下に縦横無尽に張り巡らされる毛細血管とグローミューを発達させるのが温冷浴です。
毛管運動とは攻め方が違います。毛管運動が上下に構え中から攻めるスタンスにたいして、温冷浴は完全に外側の面を捉え、身体の全面積をいかしたアプローチになります。この2つのグローミュー発達法はまさに両翼となります。
当時は息苦しい毎日でしたから、藁をも掴むきもちでした。が、初めて冷水を浴び温水に飛び込んだ時、その冷たいとも熱いともいえない波動の中で全身で息をしている、肺が一つ増えたような大きな呼吸を覚え、非常に楽になったものでした。
sponsored link
温冷浴とは
冷浴からはじめ温浴をし、冷浴に戻りを繰り返し計7回で切り上げるものです。この7回という数字はまず手始めに7回ということですから、慣れてくれば自然と回数も増えてきます。
前提として、冷浴から入り、冷浴で終わること。各入浴時間は一分。無理は禁物、ほんのちょっとの時間や回数から慣らすのが良い。
水温は水14〜15℃。冷たさがしんどい、心理的に怖い場合、18度くらいまではOK。
お湯は40〜42℃。(しかし、細かい数字にとらわれず実践するのが大切です。)
この水温14〜15℃というのは、地球上の殆どの場所においても、地下5mを掘った位置において一貫してこの水温になるようです。
本来、この健康法は浴槽を2つ用意する必要がありますが、現代の住居状況でそれが可能な家庭はかなり限られることでしょう。そこで、浴槽には熱い湯を張り、冷水浴はシャワーで代用します。これで、充分な効果が期待できる筈です。夏場は、逆に浴槽に冷水を張ることをおすすめします。
温冷浴の注意点
私も心臓に不安を抱えながら水を浴びたのですから、非常に怖かったです。
やはり細心の注意が必要になりますから、手脚だけの冷浴で始めるべきかと思います。
そして、慣れるまでは決して冷た過ぎない程度の水を用意し、或いは先に湯船や温水シャワーから始めてしまうのも良いかもしれません。その場合は温冷の回数をそれぞれ増やします。ただし、最後は冷水で〆るのが効果的です。それにより、拡がった皮下の血管をしめて、体内深部の熱はかえって外に逃げにくくなり湯冷めしなくなります。また、無駄に汗をかきつづけることは、体内のビタミンやミネラルをどんどん消失し体力を奪うことにもなってしまいます。
- 基本は冷水から始めるが、冬場や冷たすぎる水には要注意。自信がなければお湯から始め回数を増やすも良い。
- 入浴の終わりは冷水で終える方が効果が高い。
- 手脚だけの温冷浴でも充分に効果あり。無理だけは禁物。
- シャワーでの代用は手脚から。足先-膝下-腹-肩、といった具合で心臓に遠い位置より。胸には必ずしも浴びせる必要はない。
健康なひとならば、全身で冷水を楽しめますが、病者や老人は毛細血管の多い手脚を鍛えるのが良いでしょう。
※甲田光雄医師による、西式健康法の説明と効果をしめした実践マンガ本。温冷浴についての記述もあり。
温冷浴のメリット
皮膚は人体の中でいちばん面積のある器官です。温冷浴自体が大変な運動効果のあるものであり、温冷浴により人為的に皮膚の収縮機能をたかめると、
- 呼吸が楽になる。
- 薄着になってくる。
- 風邪を引かなくなる。引いても症状が軽い。
- キズの治りが早い。
- 皮膚からの解毒能力が高まる。
- 疲労回復効果、精力増強。
など身体の根本から基礎体力が上がり、息苦しさは緩和されてきます。
また、温冷浴中は皮膚の収縮が活発ですから、石鹸を使わずとも肌の汚れがよく落ちますので、頭髪や陰部など、気になる部位だけ念入りに洗っていただければモコモコ石鹸を泡立てて身体を洗う必要はなくなります。
温冷浴による精力増強について興味深い話があります。
関西のある某大ホテルの社長が、ある年の8/1より朝晩おのおの31回の温冷浴を始めたところ、頭髪がすっかり黒くなり、また関東の90余歳になられる某氏は、61回の温冷浴に励むようになられたところ、30年間休業しておったものが目を醒まし、禿げていた頭に黒い毛が生えて来た。そして36歳の奥さんを持たれた。
※西医学関連書籍より
上記の関東の方は昭和某年の6/1より温冷浴を開始し、9月に下半身が覚醒めたそうです。31〜61回はかなりの回数で驚きますが、逆にいえば高齢者でもそれを敢行し、偉大な効果を得ることが可能であることの好例になっています。このように7回という回数は無理のない範囲で考え込まれたものです。しかし、温冷浴の気持ち良さに目覚め回数を上げていくと、身体が冷えてしまったり、疲れてしまうことがあります。温冷浴そのものが全身運動ですから、それはまだその回数をこなせるだけの体力が足りていないと判断し、出来る範囲の回数を見極めることも大切です。
温冷浴にまつわる逸話
他にも温冷浴の効果でおもしろい話はたくさんあります。
例えば、
- カンがよくなった。
- 頭脳明晰になった。
- 生命線が力強くなり、明らかに手相が変わった。
- 肌が非常にキレイになった。
などなど、不思議な話まで多く存在しており、これらは全て冷温を繰り返すうちに、通常の潜在意識と知られざる無意識のその真ん中(間識)を捉える能力が長けてくる為に現れる効果でしょう。それ故、西式とはただの健康法をはるかに超えた価値を有するものであり、治病や美容目的以外にも精神性の向上、あるいは自己確立の為に毛管運動や温冷浴を励む人々もまた多いです。