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湯の素と疥癬と六一〇ハップ

time 2019/11/21

湯の素と疥癬と六一〇ハップ

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六一〇ハップの悲劇

かつて家庭温泉六一〇ハップ(ムトウハップ)という入浴剤があった。 ほんの10数年前まではどこの薬局にも売られていた知名度の高いものでした。

六一〇ハップこの六一〇ハップだが、硫黄が主成分で、澄んだ臙脂色の液体を浴槽に溶かすと、フワァ〜っとお湯が白濁し見ていて気持ちがよく、入ると尚更気持ちの良い、素晴らしい商品でした。

ところが、2007年(平成19年)頃から、六一〇ハップとトイレ洗浄剤のサンポールを混ぜ合わせると硫化水素という猛毒が発生し、練炭よりも楽に逝けるという情報が、自殺系サイトを駆け巡り、実際に自殺者や殺人事件未遂が続いてしまいました。

販売元の武藤鉦製薬は社会的圧力も受けて販売を自粛、数カ月後に自粛要請は解除されたものの、一度貼られた負のレッテルのイメージは強烈なのか、販売数が伸びず結局は廃業に追い込まれました。

六一〇ハップは愛されていた

生産中止になった六一〇ハップですが、その硫黄温泉そのものを自宅で実現してしまう、再現力は非常に高く、温泉ファンならずとも非常に愛された商品で、かつ安価でした。

六一〇ハップを必要としていた人達というのは主に、

  • 皮膚病のある人(あせも、しっしん、水虫、にきび、ただれ、あかぎれ、しもやけ、荒れ症、かいせん(疥癬)、いんきん、たむし)
  • 腰痛や神経痛のある人
  • 冷え性の人
  • リウマチの人
  • 疲労回復に使っていた人

などが上げられ、更にシルバーアクセサリーに溝の部分を黒く加工するには必須のものでもありました。


特に皮膚病には卓効があった

この内、六一〇ハップを皮膚病治癒の目的で使い始めた人が最も多く、その効果にも目を見張ったことでしょう。
特に、アトピー含むあせもなどで医師から使用を勧められるケースも多かったようで、信用されていました。

特筆すべきは、真菌(水虫、いんきん、たむし)と疥癬(かいせん)の退治がこれで出来てしまうことです。

疥癬

疥癬というのは、ヒゼンダニという、たいへん小さなダニが人や動物の皮膚に寄生し強烈なかゆみを催す皮膚病です。
このヒゼンダニは皮膚に小さな穴を掘りその中で活動、産卵する、タチの悪いヤツで、全ての皮膚病の中で最も痒いとまで言われているものです。
その穴はかいせんトンネルと言われています。

私が、小学校に上がる頃、自宅の庭にいつも遊びにくる人懐っこい猫がいました。 その猫を毎日ゴロゴロと撫でていた時間が長かったのですが、どうやら、その猫は疥癬に感染していたようです。

私の遠い記憶では猫の両耳はハゲていました。 通常、ヒゼンダニにもタイプがあって猫と人に寄生するのは別のようですが、一過的に人の身体にも移りとどまることがあるようです。 私は頭部に痒みを覚え、みるみる頭髪は抜けていきました。
幸いにも、まだ物心つく前の話で、自分がハゲた子供であっても私はストレスを感じず、小学校入学から一年生いっぱい授業中でもキャップを被っていましたがへっちゃらでした。

私の髪は患部の回復、再生とともに生えてきて、現在でも問題なくしっかりしていますが、疥癬というのはパンパじゃないです。 その痒みは想像を絶するものがあります。



再び猫

さて、幼少期の猫と疥癬の話は、私自身すっかり忘れていたのですが、先日某所から非常に衰弱し深刻な皮膚の状態にある猫を引き取りました。
直ぐ様、獣医に見せると疥癬との見立て。
身に覚えのある私は背筋に嫌なものを感じましたが、つくづく疥癬とは悪縁があるなと感じたものです。

病院では、レボリューションという疥癬に効く薬を注し、自宅で様子見です(後日、ストロングホールドというレボリューションの海外製品も輸入した)。

獣医の言は、レボリューションは非常に能く効いて驚くほど良くなるといった頼もしいものでしたが、一週間経っても目立って回復してきている様子は診て取れず、相変わらず痒そうです。
私もつい前のめりになって、犬チンキという疥癬に効く、犬猫用の外用薬を施してみたりしましたが、思うような効果は得られずヤキモキしました。

それまで、不衛生な場所で飼われていましたから、身体にはまだ汚れが残っていて、風呂に入れたい気持ちもありましたが、猫を風呂にいれるのは想像するよりはるかに難しいものです。

ただし、この時点では単にサッパリさせる為のお風呂であって疥癬退治という意識ではありませんでしたが、ふと六一〇ハップのことを思い出したんです。

湯の素

六一〇ハップを使って疥癬を退治できるのは知っていましたが、肝心の六一〇ハップがもう売られていないことも知っていました。 以前なら、こう思い立ったら最寄りの薬局で手に入ったものが、もう無理なのは不便ですね。

代替品を探すと直ぐに、湯の素というものが出てきました、六一〇ハップ亡き後、シルバーアクセサリー作家たちもこれを愛用しているようです。

湯の素を取り寄せてみました。


※届いて、キャップを開けると懐かしいあの臭い!

猫疥癬と硫黄

早速、意を決して猫を20cmほどの湯船に入れます。 しかし、もう大暴れ!! 断末魔のような叫び声で私の腕や掌を引っ掻き噛みつき、両手にハメていた軍手は真っ赤に染まりました!
それでも、もはや後に引けず怯える猫には申し訳ないですが、浴槽にフタをして3〜4分硫黄分の中に浸かってもらいました。
猫は恐怖を感じて湯船の中に脱糞までしていましたが(ゴメンね)、バスタオルを二重三重にして浴槽から猫を包み、なんとかミッションを完了させました。
これまでも、何度も猫を風呂に入れて知っていますが、猫は風呂を死ぬほど嫌がるものの、風呂上がりの気分は格別のようです。
さて、難治で困っていた疥癬ですが、医者の薬よりも市販の薬よりも輸入した薬よりも、ずっと風呂が効いたのは確かです。
この調子で数度、定期的に湯の素を溶かした風呂に入れれば、早晩完治が見込めるでしょうが、猫ももう構えてしまっていますし、やる方の私も骨が折れます。猫に限らず、犬でも人でも皮膚に問題があれば湯の素は助けになるでしょう。

六一〇ハップがかわいそう

硫黄分の入浴剤はアトピーや陰嚢湿疹のような、ツラいものにも効果的に働いて、浴後楽に過ごせるので重宝しますし、なんといっても入浴後のポカポカ感は例えようもありません。

今回、湯の素という後発製品にてやりたいことは出来ましたが、つくづく六一〇ハップは惜しいことをしたと思います。


昭和2年創業らしいですから、非常に長い歴史を持ちながら、風評被害に負けて製造元も不本意極まりなかったことでしょう。

また、いつの日か六一〇ハップが販売され薬局に並ぶ姿が見たいものです。 後発製品よりも効力強い印象もあり、値段もずいぶん安いものでした。
やはりこの分野では、いつもまでも六一〇ハップこそ王者でしょう。

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アヒンサーと読んでください。ヨーガの専門用語で非暴力を意味します。暴力や無益な殺生を止めましょうという話を展開してまいります。 ベジタリアンのお役立ち情報や、旅行記なども合わせて紹介していきます。