2021/04/04
近年タイには都市部にもワニかと見紛うほどのサイズのトカゲが繁殖しています。ちょうど日本でいうところのハクビシンのようなポジションで見慣れてくると、なかなか愛嬌まであってカワイイのです。しかし、よくよく調べてみると、なんと2.5mにまで成長するとのこと。そのオオトカゲを大都会バンコクで探してみました。
sponsored link
どんなトカゲなのか
ミズオオトカゲ
有鱗目オオトカゲ科オオトカゲ属に属するトカゲ。別名サルバトールモニター。分布
インド(アンダマン諸島)、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ王国、中華人民共和国南部、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス形態
大型個体は全長250センチメートルに達する。体重25キログラム。体形はやや細い。黒い体色に淡黄色の斑点が帯状に入ることが多いが、亜種や地域により異なる。吻端はやや細長い。鼻孔は丸く、吻端寄りに開口する。四肢や指趾は頑丈で、指趾には鋭い爪がある
※Wikipediaより
こんなスペックのトカゲなのですが、私の知る限りバンコク市内、市外のひょんなところでしばしば目にしてきましたが、こちらも特に意識していなかったし、いつも行き当たりバッタリの出会いで現れれば暫く観察するといったかんじでした。しかし、幼少期より鑑賞魚に亀やイモリ、蛇まで飼ったことがあるほど生き物好き(菜食主義者になってからはそういう趣味は消えました)でしたから、改めてトカゲだけに一日を費やすことにしてみました。
まずはルンピニー公園
バンコク市内で最も目撃情報の多いのが、ルンピニー公園で、さすがにお釈迦様の生誕地を模したというだけのことはある、美しい公園です。ここは代々木公園に池を造ったようなデザインの公園で、私もいままで何度も行っておりますが、朝の太極拳(いちおう武術家の端くれ)しに行ったり、屋台で食事したりといった目的でした。しかし、いざトカゲを見付けようと気張るとなかなか姿を見せてくれないものです。園内をくまなく歩きましたが、結局この日はすっぽかされました。
作戦を練る
当てずっぽうに公園をぐるぐるしてても仕方ないですから、今までどんな場所で何時頃、トカゲを見かけたか思考を張り巡らせます。
まず何故にルンピニー公園がメッカなのかと考えれば、緑豊かであるから、エサが豊富であるから、そして水辺であるからという条件が浮かび上がりました。
次に時間、浅はかな先入観で考えるとやはり街が静まりかえる夜間のほうが動物たちにとっては居心地がいいだろうとおもわれます。しかし、どう脳内をスキャンしても夜間にこのトカゲを見かけた記憶がまったく出て来ない。どういうことか、、、おそらくは甲羅を干す亀のように太陽光が必要なタイプなんではないでしょうか?? ルンピニー公園はとにかく日当たりが良いのでその線で攻めてみたいと思います。
場所を変える
釣りのように待っていれば良しという具合ではありませんから、私が勝手に思い付いたトカゲのいそうなポイントに移動していきます。条件は、日当たりの良い水辺としました。
バンコクで水辺といえば、言わずもがなのチャオプラヤー川。チャオプラヤーといえばサパーンタクシン駅の船着き場という単純思考で行ってみました。ですが、ここは日当たりも良いもののいつ行っても人がごった返しています。動物にしてみれば危害を加えられる可能性のある人間の多い場所を好むワケないですね。 もうちょっと頭使えばよかったと早々に船着き場を離れようとしたその時、
いましたっ!!
なんと水辺とは反対のホテルの駐車場に50cmほどの小型サイズの個体が姿を見せてくれました。私の傍らをノッシノッシと全く動じる様子なく歩いて行き、たまたま横切った大きなゴキブリをメリメリ音をたてながら食べてしまいました、、。 改めて観察してみるとスゴい迫力です。
そのまま息を殺し、見守るとチャオプラヤー川ではなく脇の支流である、細い水路に消えて往きました。
なるほど〜!
そこで、新たに気付いたことは、水は必須であるもののチャオプラヤー川やルンピニー公園の池のような大きく開けた水系ではなくて、ちんまりとした川や水路を好むのではないかということです。彼らは魚ではないですから水が多すぎるのも適していないんだろうと思いポイント選びから再考することにします。
水路へ移動
考えつく限り、このトカゲが好みそうな水路は3ヶ所。ナナの裏側を通る水路、ワット・パクナムの水路、そしてヤワラートとパフラットの間の水路です。そのうち一番ちかくの場所である、ヤワラート方面に船で向かいました。のどかな日にこんなカンジの水路を練り歩きます。右にグラフィック、左にトカゲ探しでこれはこれで楽しい時間です。
壁面のグラフィックはまるで近代アートの美術館のようです。 おみごとっ!
トカゲ発見!
いたいたいたっ!
運河のど真ん中をゆったりと泳いでいます。サイズは1mない位でしょうか、細身で実に優雅です。
2匹目
また直ぐに2匹目を見付けました! やはり亀の甲羅干しと同じ習性があるのでしょう。とても気持ち良さそうに日焼け中です。こちらもサイズは1m程ですから中型でしょうか。腹にボリュームがあり、この水路にエサが豊富なことが伺えます。チラッと水面に目をやるとなんとグッピーの群れが泳いでおりました。見た目より水質は悪くないのかもしれません。
この個体は横目で私を視ておりました。距離は2m程。これ以上近付けば逃げてしまうと思われますが、どうもこのトカゲは極端に人間を避けるようなことがありません。 かといって、犬猫のように手懐けてエサをやるというのも難しいでしょうが、爬虫類としては実にオープンな性格なんじゃないでしょうか。 カワイイです。
3匹目、怪物!!
橋の下に別格サイズの一匹がいました! これはもしかしたら主かもしれない。そのサイズは推定1.5m強、太い!
小型〜中型と比べると明らかに体表が黒く怖さがあり、あまり近付くのは危険と判断しましたので、橋の上からの撮影です。
これぐらいになると、食べるものもコイやフナにとどまらずネズミは当たり前、子猫や水鳥などもターゲットになるそうです。もし喰い付かれたら指が千切れるかもしれませんね。
このポイントは明らかに当たりで、まだまだ素敵な出会いがありそうでしたが、これ以上の大物を見付ける自信もなかったので、これを今回の真打ちとさせていただき調査を切り上げます。満足です。
まとめ
- ルンピニーパークにトカゲを求め過ぎてはいけない。
- 昼行性、日差しを好む。
- 小型の運河こそベストポイント、流れが速いのも無いもの良くない。
- 極端に人に怯えることはない。
- 決して触ろうとしてはいけない。
アクセス
ファランポーン駅から歩いて行くのがよいと思います。15分程で水路です。この水路の周りはバンコク有数のマーケット密集地帯ですので、ついでにお買い物などされるのもオススメです。
半日の調査を終えて
ちょっとした時間を使って、バンコクでの野良トカゲの生態調査をしてみましたが、予想以上に多くのことが分かり、充実した時間を過ごせました。今回は合計4匹のミズオオトカゲとの出会いがあり、サイズも50cm〜1.5mまでと幅があったことにも満足しています。ホテルでの遅めの朝食を済ませてから夕方までの思い付きでしたが、トカゲの為に散策するバンコクもまた魅力的、水に恵まれた都市で東洋のヴェニスと云われる由縁がトカゲ目線で分かりました。
最後は王宮の方まで歩き、ワット・ポーあたりのピアから船でサパーンタクシンのピアまで戻りました。その時の夕暮れの暁の寺ワット・アルンです。