2021/04/04
白隠禅師は五百年に一人しか生まれ出ないと言われるほどの傑僧で、江戸時代中期の人。 臨済宗中興の祖と呼ばれ、神経病と結核治療の精神的治療法のパイオニアです。
おふじさん 霞の小袖 ぬがしやんせ 雪の肌へか 見度うござんす
とうたった白隠禅師であり、
日本に 過ぎたるものが 二つある 駿河の富士に 原の白隠
とうたわれた禅師です。
隻手の声の公案を残したことでも有名ですが、二つの精神的治療法と一つの奇跡的なお経を残しました。
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白隠の治病法、二本柱
一本目は内観の秘法でした。
そして、二本目が軟酥の法。
この二つの精神的療法で病人は必ず良くなると禅師、さらには白幽仙人はいっております。
軟酥の法
一般的には白隠禅師が紹介した一種の瞑想法として、軟酥の法の名で通っているでしょう。
しかし、これは正式には軟酥観といって仙道の観想法になります。
さらにはもしかしたら、アーユルヴェーダに起源があるのかも知れません。
究極の癒しと言われる「シロダーラ」によく似ていて、それを精神的に行う方法です。
仙道とは
禅の話から一転、仙道となってしまっていますが、仙道って一体なんなの??
という話になるでしょう。
仙道とは、そのまま仙人になる道ですが、その仙人とは、、、とイタチごっこになってしまいますが、早い話が俗界から解脱したもの、ヨーガでいうシッダ、仏教でいうブッダと全く同じです。
もっと簡単に言えば、インドの仙道がヨーガであり、大陸のヨーガが仙道である。
要するに、目指すところが全く同じでありながら、その登り方と名称が違うだけ。 実際にはその過程は酷似しています。
白隠は禅門の仙
禅師の著作を読めば一目瞭然ですが、白隠の治病および悟りは仙道によるものでしょう。
そう言い切っても差し支えない程、禅を超えた描写が多く、一に丹田、二に丹田です。
これはまさに仙道、道教の教えそのまま。 因みに道教と仙道は、そのままヒンドゥー教とヨーガのそれで、
ヨーガや仙道の行者は必ずしも出家している必要はありません。
白隠以外にも同じように煉丹法を用いた人に、藤田霊斎という密教僧がいます。
霊斎は自己の大病を白隠の夜船閑話をバイブルとし、山籠りしながら癒やし、調和道という丹田呼吸法を研究する団体を残しています。
※軟酥の法、紹介動画。 非常に分かりやすいです。
軟酥観
ここからは、本来の軟酥観として扱ってゆきます。
禅師は、白幽仙人から内観の秘法をおそわり、更に酥を用いる方法を教えてくださるようお願いしました。
白幽仙人は難病に罹り、いかなる方法でも心身調和せず、疲労が回復しないものには、
次のような法をおさめるがよいと言われ、軟酥観の説明に入ります。
色美しく香り高い種々の仙人の神薬を練り混ぜて鴨の卵大に丸めたと想像する。
その丸薬を頭の上に乗せ、次第に体温でタラリタラリと溶けてくる様を想い描く。
その流れは頭脳の隅々までしめらし、こめかみを流れ、両肩、両腕、、、両脚の先まで、
全身に油が溶けたように染み渡る。
この時、肉体にある病気も精神上の煩悶、ストレスも溶かされ下に下に流れ降るのを実感し、全てを足の裏に流す。
こうして、軟酥の法を観じている間、
鼻は妙香を嗅ぎ、身体は妙風に包まれ、心身に調和がよみがえり、、、、どんな難病でも治らぬということはなく、どんな事業をも成功に導く徳が得られるとされる。
しかし、その効果の早い遅いは修行者の熱心さ、真剣さによるのはもちろんである。
※私の体験です。妙香を嗅ぐというのは今の処ありませんが、妙風に包まれるのは日常的に起こります。たとえ飛行機の上など、遮断された空間で軟酥観をしても妙風に包まれ多幸感を得ることがあります。
※60年を超えるベストセラー。病者必読の書とされるが、武道、呼吸、内観、、行と呼ばれるものに興味がある者には一読の価値あり。
これは疑似周天法であろう
周天法とは専門的な言葉ですが、小周天、大周天という境地を指す言葉であり、聞いたことがある方もいると思います。
小周天とは体内の特別な気を背骨に沿って登らし、正中線に沿って降ろすを繰り返す、気の世界では一つの奥義です。さらにその気を両手両脚、腹回りなど全身に巡らすのを大周天と呼びます。
ヨーガのクンダリニー覚醒を小出しに分けて、時間をかけより安全に修練していくことと同じでしょう。
※おいおい私の小周天、大周天の体験も書いていきます。
こういったことが可能になると、非常に意識が拡がり、病気に罹らなくなったり、不思議な体験なども頻発するよになりますが、そう簡単に出来ることではなく、まず丹田を獲得しなければ始まりません。
しかし軟酥観は、丹田の意識がなくとも、これら周天法を擬似的に行うものといえるでしょう。
実際に、軟酥観に熟達してくると体内の内分泌が旺盛になる感覚を覚え、本当に頭から腹へ、腹から脚へと生きた流れが感じられてきます。 ここまでくると多少なりとも意識の力で生命力やホルモンを制御しつつある状態にはいってきています。
現代医学、食養生、運動法だけが治病法ではない
難病はそう簡単には治らないし、現代医学では分からないからこそ、難病なのでしょう。
ただし、そういった疾患に対しても、まったく手立てが無いと諦めるのは早計。
ペニシリンなどない時代に、白隠のように自力で結核をねじ伏せた偉人はたくさんいます。
西式健康法もテトラパシーといって、栄養、四肢(運動)、皮膚、そして精神の四つによってあらゆる病気は治るとしています。
軟酥観と内観の秘法は、精神的治病法においてとりかかり易く、やればやるほど効果が出やすいものです。
白隠が治らなければ首を持っていけとまで言い切ったのですから、治る、、を前提に励んでみれば面白いことも起こるでしょう。
あわよくば、人生の深い意義に触れることもあるかも知れません。