2021/04/04
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バンコク、下町人情
タイ人の信仰心は日本人の感覚からすると桁違いで、待往く女子高生ですら、仏陀やプミポン国王をあしらったアクセサリーなどを当たり前につけ練り歩く姿をよく見かけます。老若男女どこをみても仏教の尊い教えが骨の髄まで染み込んでいるタイの人々からは、時に驚くほどの優しい一面を見せてもらうこともあります。
今回、下の彼には信じられない程のことをして頂きました。
彼のペンダントに注目してください。これをプラクルアンといいます。
プラクルアン
プラクルアンとは、仏様もしくは高僧、聖者を型どった小さな仏像になります。これを首から下げて、いつも仏のご加護を得るというわけですが、このプラクルアンは古ければ古いほど価値を持ち、特に昔の高僧が加持祈祷をして念を込めたもの、また身につけていた人に霊験があらわれたものなどには、過去にン千万で取引された実績まであり、専門誌までいくつかあります。また、プラクルアンの製造法には、お寺それぞれの秘伝のレシピがあり、仏像を砕いた粉を用いたり、寺のシンボルである鐘の金属を使ったり、高僧の舎利(骨)や遺髪まで使われることものもあるようです。 私自身もタイに何度となく行くうちに寺院で売られている(厳密にはチャオするという※借りるの意)プラクルアンに惹かれ、身に付けるようになりました。
私が普段、身に付けているプラクルアンです。 マニアックですいませんが、左からワット・ラカン、ワット・バーンライ、ワット・パクナムのものになります。ワットとはお寺のことです。 左のものはタイの五大お護りの一つであり、真ん中は非常に有名な僧侶のいた寺のもの、右のものはおそらくバンコクでは瞑想において最高峰の寺院のものになります。忘れてしまいましたが、左が65年程前に制作されたもので、真ん中と右のものは25年ぐらい前のものになります。最近は、真ん中のルアンポークーンという、近世で最も人気のあった傑僧のいた寺による、プラ・ピッター(人の悪いところを見ない)を身に付けています。私もかく在りたいと自戒を込めて身に付けておりますが、哀しいかな凡夫の性で、いつもいつも愚かです。。このピッターには左脚に特別な金属が埋め込まれています。
雨に消える青年
さて、上に写真を載せた笑顔の青年ですが、ゴツい身体に相応しい、ゴツいプラクルアンを3つ程、首から下げておりました。その日、彼はジェーの祭り期間中に中華街を訪れる人や貧しい人々に、水やお菓子やとうもろこしを振る舞うボランティア活動をしていたのだと思います。 そんな中、急に大雨が降り出したものですから、私も屋根のあるところに逃れ、そこにいた彼と話をすることになりました。
私もプラクルアンをぶら下げている者の端くれですから、自然とプラの話になり、熱くなった彼は、「ここで待ってろ!二時間後に戻るからっ」と土砂降りの中をバイクにまたがって消えてしまったのでした。あっけに取られつつも、食べ歩きをしながら、約束の時間に屋根の下に戻ると、彼がいました。「ほらっ」っと満面の笑みで、彼が付けていたものと、全く同じプラクルアンとさらにもう一つを私にくれたのでした。
青丸で囲った中には、極小の円筒形の巻物が仕込まれています。おそらくは経文でしょう。彼が言うには、両方とも80年前の代物で、一つはワット・カオタカオというところのソムデッドというもの、もう一つはワット・ラカンのものだそうで、とにかくプラクルアンに関しては、ピンキリだから、このジェーの吉日に私に最高のものをくれるというのです。あまりにも突然で、また価値の高そうな物で、びっくりしましたが、彼としてもこの施しによって功徳を得たいという気持ちもあるでしょうから、そこを尊重して有り難く頂きました。 お返しといってはなんですが、あらかじめ買っておいたビーガンちまきを5〜6個渡したのですが、それすら拒み、そこをなんとか受け取ってもらいましたが、それにしてもこの二つのプラは高かっただろうな〜っとしみじみ思います。感謝、多謝。
仏針 サクヤン
眼、大丈夫なんでしょうか、、、プラクルアンに入れ込む人々もさることながら、タイにはもう一つ仏への揺るぎない信頼の証があります。
写真の彼も、英語も何も通じないながら人懐っこく、自慢のプラクルアンを見せてくれましたが(これ6万バーツだそうです、約¥200,000-)、勢い乗じて自らの背中にドーーーンっと彫り上げられたサクヤンまで見せてくれました!
サクヤンとは見ての通りの刺青なんですが、タトゥースタジオで入れるわけではありません。専門のお寺で専門の僧侶にお布施をして彫ってもらう、神聖なるお護りなんです。それ故に仏針といわれます。
写真の彼は中央にガネーシャでしょうか、、が居て、右に仏陀、その他聖獣と呪文が散りばめられており、味わい深いです。(ここまでしてもらって気付きましたが彼は彼女でした、、。)
こちらは、別の知り合いの女性です。うなじに彫られた呪文による仏塔。左肩には鳥の聖獣。タイの仏教は上座部ですが、非常に土着の精霊信仰とヒンドゥー教が盛り込まれていて、ガネーシャやハヌマーンといったインドの神様もあちこちで見受けられます。
お坊さんがタトゥーを入れてくれるなんてタイならではでしょう。施術後は入れた図柄に対して魂入れの儀式までしてくれます。
私もいつかは一つぐらい入れたいなぁと切望しつつも、やはり現地での衛生環境がいま一つな気がしてしまい、躊躇しています。HIVや肝炎のリスクが無いわけでは無いので慎重になっている人も多いでしょう。ただ、現地でサクヤンを入れて、病気になった話などもまったく聞いたことありませんので、杞憂かもしれません。追々、縁に恵まれれば自ずと結果も出ると思います、天におまかせ。
合掌